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エレベーターは「どこでもドア」!?

 ドラえもんに何でも頼めるなら「どこでもドア」が欲しいなんて、思ったことありませんか。じつは「自宅にエレベーターがある」はいい線いってます。

 荷物を上下に運ぶのは本当に便利です。米や水など重くかさばる買い物は、インターネットを利用する人が増えたんだとか。もちろん玄関まで運んでくれます。ですが、そこからの移動が大変です。エレベーターをつければそれらの労力を軽減できるわけです。

 問題は価格ですよね。

ざっと費用の話

 自宅にエレベーターをつけるなら、「ざっと500万」というところでしょうか。これは工事代もこみ? 維持費もいれてる? 本体だけ? 以下、参考までに費用の話を簡単に。

 設置するには、エレベーター本体だけでなく、申請の費用も必要です。

 順に、まずエレベーター本体は、安くて270万~。高いものだと400万ほど。

 申請だけでなく、設計や現地調査費用もかかります。こちらは10万ほどでしょうか。

(建築基準法にしたがい、着工前には所轄の行政官庁にエレベーター本体と建物の確認申請が必要になります。確認の通知がなければ着工はできません)

 家の状態によるのですが、強度が乏しいばあい、自立鉄塔が必要です。こちらがざっと50~100万。ケースバイケースで値段は変動しますが、500万円ほどの覚悟がいります。

 ここには、維持費を入れていません。(詳しくは下へ)

ニーズは高まっている!

 ざっと500万もするホームエレベーターですが、ニーズは高まっています。多様なニーズにこたえて、2015年には規制が緩和されました。

 エレベーター本体の床面積(かご)は広くなり、4階までだった高さ制限はなくなりました。

 理由はシンプルです。車いすユーザーが増加しているうえ、住宅は高層化したからです。

 変に気を回しすぎかもしれませんが、お役所は「なるべく自宅で介護」をモットーにしているように見受けられます。ですから、ホームエレベーターは推進したいのではないでしょうか。

※2メートルほどの段差を解消したいなら、エレベーターより「段差解消機」がおすすめです。

気になる維持費、メンテナンス代

 当然ですが、毎日の電気代は上がります。年間で計算しますと、電気代は6000円ほどのアップです。さらに、メンテナンス契約をして定期点検をうけるのが一般的です。契約料は年間43000~59000円ほど。オイル交換は5年ごとに50,000円ほど必要です。

 これだけでも高価ですが、まだあります。なんと、固定資産税が20,000円ほどアップしちゃうのです。

 設置するのに、500万ほど、ランニングコストが年間8万円ほど。

 エレベーターは一般的な電化製品とは違います。大掛かりな工事をともないますし、安全対策に手間がかかります。竣工時には工事完了の検査もうけ、検査済証の交付もあります。

 超・高い買い物です。

 でも、考えてください。そもそも急こう配の階段、荷物を持って移動するのは、危険な行為です。人間はいつも同じ状態ではありません。加齢によって足腰にふらつきがでるのは当然ですし、病気やぎっくり腰になるかもしれません。通院するのに、いくらかかるでしょう。

 エレベーターがあれば妊婦さんも安心です。車いすのまま安全に昇降できるホームエレベーターは劇的な介助力の軽減に直結しています。

お金だけじゃない、場所もとられる

 高価だが役に立つ、と主張してきました。ですが、資金だけの問題ではすまないことをお伝えしなくてはなりません。

 ホームエレベーターを買うというのは、改築に匹敵します。フローリングをキレイにするのとはレベルが違います。

 住宅の状態によっては場所を大きくとってしまうのです。当然ですが、垂直方向に空いた場所が必要です。一階は物置でも、2階は子どもの部屋で、3階は廊下のど真ん中。なんてこともありえます(もちろん、これではできません)。

 工夫として、エレベーターのドア数を増やすことができます。2階は南向きに出て、3階は北向きにでるなどは可能です。

事故もある!?

 事故やアクシデントも気になるところです。メンテナンスはプロに任せましょう。

 そのうえで、エレベーターのまわりを掃除して、大事に使うことです。ホコリは溝にたまりやすいです。つい、ドアに小物を挟んで放置していたり。センサーをいためてしまうと、ドアの開閉ができなくなります。故障の原因は小さなことの積み重ねが多い、らしいです。

買う前には試乗が必須

 公共施設でみかけるエレベーターを想像すると、別物がきます。ものにもよりますが、大人2人が立つと窮屈なくらい、とにかく狭いです。

 一度は実物をみて、動かしてください。

家に必要なもの、それは「愛」

 ホームエレベーターの問題だけではなく、そもそも家にはメンテナンスが必要です。あと後のことも考え、ある程度お金をかけて住めば、いつも快適に暮らすことができます。

 安くて質のよいものを選びたい気持ちはわかります。ですが、住宅は「すみか」です。暮らしにくいまま我慢を続け、思い切って買い替えた時に体を壊しているのでは意味がありません。

場所を確保しておく

 資金が足りない、今すぐエレベーターは必要ない、ならば、場所だけ確保しておく方法もあります。

 数年で家族は成長し、変化します。人数も変わるものです。その日がくるまで物置などにして利用します。

 ですが、ご自身で想定するのではなく、専門家に相談しておくと安心です。建物の強度を考えたり、電動の車椅子になったときの総重量のことなど、考慮することがあるからです。

 施工前にご相談いただけると、数百万円単位で得をすることもあります(なんだか怪しい感じになってしまった)。わたし以外の専門家にでも、聞くだけなら無料の場合が多いので、検討されているなら、ぜひ。

 駅や公共施設で、段差解消機をみたことありませんか? 実はアレ、自宅にも簡単に取り付けられます。操作もシンプル。介護保険を使ってレンタルすれば驚きの価格です。

 段差解消機を動かすと、文字通り世界が広がります。我が家につけることになった段差解消機をご紹介します。

置くために、まず何をする?

 段差解消機を置くには、まずケアマネジャーに相談します。ケアマネジャーさんが福祉用具屋さんを紹介してくれます。福祉用具屋さんと、実際に家をみながら検討します。

 あとは福祉用具屋さんに任せればいいのですが、具体的には以下のことを考慮します。

 車イスごと動かす場合は、スペースの確保が必要です。忘れがちですが、近くに電源も。そのうえで、水平の硬い床はありますか?

いくらするの?

 一般的な段差解消機のレンタルなら、月に2千円ほどです(介護保険を使えば)。

 設置にかかる費用も含まれます。もちろん撤去するのも込みです。工事は、すえ置きタイプで、2時間から半日といったところです。

 電気代は、月に数円です。私も毎日使っています(2回)が、電気代はほぼ変わりません。

 電気配線の工事をする心配もありません。一般的なコンセントがあればOKです。

 ただし、段差解消機には種類があります。動かす方法も、電動式と油圧式、手動式などあります。(私は電動式を使っています)

 すえ置きタイプなら、工事する必要もなく、建築基準法など心配しなくても大丈夫です。

メリットとデメリット

 段差解消機があれば、介護者の負担を軽減できます。それだけでなく、移動できる範囲を広げ、気分転換にも生き甲斐にも繋がります。

 場所がないからと諦めることはありません。オーダーメイドが可能です。屋根がなく、雨ざらしになっても大丈夫なタイプもあります。

 ただ、デメリットというほどではありませんが、場所を確保するのが大変かもしれません(片付けが)。

 他の家族がいる場合、踏み台が必要になります。車イスで移動する際は、踏み台を置く場所も確保しなくてはなりません。

 業者による定期点検が必要です。年に一度のことですが、来てもらう手間がかかります。

 小さな子どもがいると、簡単に動かせたのでは危険です。電源をいれる鍵があるものを選ぶと安心です。

こんなのもある

 すえ置きタイプの説明をしてきましたが、固定設置(ピット埋込型)もできます。行き先が高い場所の場合、固定するのが原則です。2メートル以上の高さに対応することもできます。

 また、オプションで手すりや柵を付けるなどもできます。

災害をイメージする

 停電してもどこまで動くか、チェックが必要です。「停電しても下降のみできます」と表示のあるものがあります。本当にそれで大丈夫ですか? 価格だけでなく、災害時をイメージしてレンタルすることをおすすめします。

 手渡されたケアプランを、領収書のようにチラ見だけして破棄していませんか?

 そもそもケアプランって何? から、確認するポイントなど、わかりやすくご紹介します。

ケアプランって何?

 簡単にいうと、「介護の計画書」です。一人ひとりにあわせて、どんな介護サービスを組み合わせるか。どうすればより良い生活を送れるか、目標も設定してあります。

なぜ必要か、なぜややこしいか

 税金を使うサービスだからです。「要介護」「要支援」の認定を受けると、介護保険を使ったサービスが受けられます。つまり、リハビリなどが安くなるわけです。

 リハビリだけでなく、福祉用具のレンタルや、訪問型のサービスなど幅広いサービスが割安で提供されます。安くなる分は「税金」ですから、無計画ではなくキチンと計画に沿ってください、というお役所の事情があるわけです。

 一般的には、ケアマネジャーさんが無料で作ってくれます。

ケアプランは3種類

 「介護予防サービス計画」「居宅サービス計画」「施設サービス計画」の3種類があります。

 まず、「要介護度の認定」が第一関門です。少しややこしい話ですが、度合が低いものから順に、要支援1~2そして要介護1~5まであります。要介護5がマックスです。

 これらの度合は、市区町村の調査で認定されます。度合によってケアプランも変わってきます。低いものから順にご紹介します。

・介護予防サービス計画:対象は要支援1~2と介護度が一番低く、介護を必要としていない予防的なケアの計画です。(このケアプランだけは、地域包括ケアセンターが作成してくれます)

・居宅サービス計画:対象は要介護1~5の方。自宅にいながらサービスを受ける人です。具体的には、自宅で受ける訪問介護やデイサービスなどがあります。

・施設サービス計画:対象は原則として要介護3~5の方(要介護1~2も可)。特別養護老人ホームや介護老人保健の施設でサービスを受けるプランです。

(ここからは、ケアマネジャーに依頼する「居宅サービス計画」「施設サービス計画」に絞って見ていきます)

毎月のケアプランを確認するポイント

 確認するポイントはズバリ、「今、何に困っているか」を伝えることです。専門用語を使う必要はありません。これからどんな生活がしたいか。

 言いにくい話かもしれませんが、ケアマネジャーさんは経済的な事情も考慮してくれます。恥ずかしいなんてことはありません。言いにくいなら、ケアマネジャーさんを交代してもらいましょう。

理想形は?

 トラブルが発生したとき、まずその場で個別に相談します。例えば理学療法士さんや作業療法士さんに具体的な相談をして、手配するものがあるならケアマネジャーさんに連絡するよう依頼しておきます。仕事を増やして悪いなど、遠慮する必要はありません。

 後日、ケアマネジャーさんが持ってきてくれたケアプランをみて、頼んでおいた変更点のチェックをするわけです。

 できれば、本人も参加して、ケアプランの立案から確認をして、理解してもらうとより効果的です。(一種のリハビリにもなります)

ケアプランのもとをイメージする

 原案を考えるポイントは3点あります。

 その1、不安を解消するためのサービスか。こちらが不安に思っていることをカバーしてくれる具体的なサービスを用意してもらいます。

 その2、金額に無理はないか。状態が変化したとき、すぐに変更できるように、金銭に余裕をもって計画するのがおススメです。

 その3、生活のリズムが崩れないか。本人や家族の生活リズムを最優先にします。サービスを入れて問題ない時間をさがします。介護は長期戦です。無理をしては続きません。

ケアプランは自作できますが…

 プライバシーを守りたい、踏み込んできてほしくない。ケアプランは自分で作ってしまうこともできます。

 しかし、作業は大変です。市区町村の介護保険課でケアプランの届出から、毎月利用実績の提出などの作業があります。

 大変なのは一度だけと考えてませんか? 甘いです。実際にサービスを始めてみると、回数や時間、曜日の変更など問題が出てきます。

 介護は一人で行うものではありません。サービスしてくれる専門家たちによるチームワークが重要です。ですから、納得できるケアプランを作るには、専門家に相談するのがおススメです。

 よりよい介護を目指すなら、要になるのはケアマネジャーさんの仕事です。チームにストレスを感じる人がいるなら、交代したもらいましょう。我慢はストレスの元です。

 問題があったときには、早急に対処してくれる人に交代してもらうことも選択肢の一つです。

 入院することになった!? 何を用意すると効率的で便利か、リストを作ってみました。参考にしてみてください。

 病院から案内といっしょに「持ち物リスト」を渡される場合もあります。ですが、入院中に必要となる物品への本音は書いてくれません。

 慣れない入院に、わけも分からず用意するようにいわれた物品。ぶっちゃけ何がいるの?

 母は何度か入院し、手術をした入院も、しない入院もあります。あれがあれば…、これはいらなかった…。高齢者の入院に必要なものをリストアップしてみました。

入院する、その場で必要になるもの

〇ねまき 前開きできるもの(検査や回診に便利だから)(ボタンよりマジックテープがおススメ)

〇羽織るもの 病室は寒い場所もある!

〇下着

〇履物 滑りにくい靴(サンダル禁止の病院もあるのでご注意を)

〇タオル2種類 大小あると何かと使える。ガーゼハンカチがあると、口元や目元に使えて便利

〇ティッシュ ボックスであると使える

〇歯ブラシ あるなら「口腔ケアスポンジ」がおすすめ

〇コップ プラスチック製がおススメ(落とすから)

〇吸呑器 (ストロー付きのコップでも〇)←百均にあります

〇箸、スプーン フォークもあると、ちょっとした果物などを食べるのに便利

〇服用している薬+おくすり手帳 (常用しているサプリメントもお忘れなく)

※おくすり手帳が無い場合、服用している薬をもっていくとわかりやすい(入院すると、家での服用薬はいりません。新たに病院が出してくれますから)

〇眼鏡+ケース 財布がなくても、眼鏡を忘れてはいけないと痛感しました。ケースがあると収納に便利です。

〇入れ歯+ケース+入歯用ブラシ+部分入歯 洗浄剤(例えば、パーシャルデントのような錠剤など)

入院の手続きに必要なもちもの

□ 健康保険証

□ 高額療養費限度額認定証などの「証明証」(介護保険被保険者証や、医療被保険者証など)

□ 障害者手帳などの手帳

□ 診察券

□ 印鑑 シャチハタ不可の場合も

□ 現金

入院生活に役立つグッズ

※基本的に、百均で揃います。

◇お盆 小さめのお盆があると小物などをまとめておけます。

◇ふきん お盆にかぶせておくだけでスッキリした見た目に。また、敷いておくと水滴などを吸い取ってくれて重宝します。

◇お尻ふき お尻も拭けますが、ウエットティッシュとしても使えます。最強アイテムの一つ。

◇S字フック サイドテーブルに引っ掛けるものが3個もあれば無敵です。

◇洗濯バサミ パイプで挟める大き目のものが2つもあれば十分。

◇紙袋 着替えなどを定期的に持ち帰る際、置いておくと使うことが多い

◇シャンプーとボディソープ

◇爪切り 病院でやってくれる場合もありますが、付添人がやることが多い。

◇テレビのイヤフォン ケーブルは3メートルくらいの長さが便利です(百均にあります)

◇保湿クリーム 空調が効きすぎて、乾燥してしまうことがあるので

◇マスク 感染予防と保湿に

◇ふりかけ 病状と相談が必要ですが、岩のりだけでもグルメ気分に

◇置き時計 寝ながらでも見えるように角度の変えられるものがおススメ。部屋に時計があっても、使います。

◇筆記用具一式 小さいハサミもぜひ

◇カレンダー機能のあるメモ帳 単調な入院生活、一つにまとめておくと振り返りやすい。一日の変化もつかみやすくなります。さらに、いつ退院できるなどメモしておくと励みにも。 

◇付箋紙 テーブルに貼ってメッセージを残す用です。大き目のメモが使えます。

レンタルもあるけど!?

 お金に余裕があるなら、リストにあるものは、院内の売店やコンビニでほぼ買いそろえることができます。

 服やタオルなどレンタルをしている場合もあります(窓口や売店で申し込む)。清潔にしておきたい最低限の部分をカバーしてくれます。月に1万円ほどの出費です。一日換算なら300~400円ほど。

 入院が長期になるなら、売店やレンタルは高くつきます。特にオムツは高い!

まとめとおまけ

 お金さえあれば何とでもなります。ですが、月に数万円かかってきます。

 一日中カーテンで仕切られた病院にいる生活は、気持ちも落ち込んでしまいます。お金はこちらに使うことをおすすめします。

 リハビリをするとき、「作業療法士」や「理学療法士」のお世話になります。ですがその違い、わかりますか? トレーニングは漠然とやるのではなく、理解して動かすと、結果が変わってくるらしいですよ。

 あのイチローも「自分で無意識にやっていることを、もっと意識をしなければならない。」と語っていました。

 毎日のリハビリも意識してやってみませんか。似ているようでちがう、仕事内容について、分かりやすくご紹介します。

超・簡単にいうと

 日常生活や、社会に出たときのリハビリが「作業療法士」、

 運動機能の回復や、歩く練習などが「理学療法士」です。ざっくり言いました。

 どちらがより専門性が高い、などの違いはありません。どちらも大事です。では、詳しくみていきましょう。

作業療法士は「生きがい」をサポート

 日常生活で困る動きを訓練してくれます。自分の指を動かし、着替えて、お風呂に入ったり、食事をする。つまり、生活を送る上で必要な機能回復をサポートしてくれます。

 趣味の絵を描いたり、編み物したり、ちょっとした家事もリハビリのツールになるんだとか。できることが増えると、心も元気になりそうですよね。

 訓練だけでなく、社会に参加するための具体的な方法、精神面でもサポートしてくれます。

 作業療法士は、「Occupational Therapist」。略して「OT」と呼ばれることもあります。

実際、作業療法って何するの?

 手先を動かす手工芸は、趣味でやったことのある人も多いはず。なんだ遊びか、など侮るなかれ。手工芸は複雑な関節の動きに、絶妙な力加減も求められるのです。ただ遊んでいるのではありません。

 塗り絵や編み物といった段階的な課題を用意して、飽きずにリハビリできるように工夫してくれます。楽しみながらリハビリを続けることで、動きの幅も増えていきます。

 介護をする側は、ちょっとした動作の支えであっても、疲労が蓄積します。少しでも、本人が自立することは、家族全員の健康にもよいのです。

理学療法士は「機能回復」をサポート

 寝たきり状態の人が起き上がるには、筋肉のリハビリが必要です。「座る」という簡単そうな行為も、リハビリなしでは難しいことがあります。実は「寝返り」さえも、筋肉が回復しないとできません。

 理学療法士は、起きる、座る、立つ、歩くといった身体の基本的な機能回復をサポートしてくれます。

 自分の力で、動ける範囲を広くするための運動療法や物理療法などをサポートしてくれるわけです。筋力を低下させないための予防的なリハビリもしてくれます。

 理学療法士は、「Physical Therapist」。略して「PT」と呼ばれることもあります。

理学療法士の現場

 理学療法士は高齢者のリハビリだけでなく、スポーツ分野での活動もあります。選手が怪我をした場合、復帰を目指したトレーナーになるのです。

 高齢者のリハビリでも、医学的な情報から、どんな動きをすれば復帰できるのか。目標を設定、トレーニングする環境もアドバイスします。

 温熱療法や電気療法など、物理療法のための装置も使います。また、福祉用具なども使い、普段使っているもので日常生活が送りやすいように指導してくれます。

共通するのは「前進」すること

 最後にまたイチローの言葉から、

「ちいさいことを重ねることが、とんでもない所に行くただひとつの道」

 座って着替えるとします。座る筋肉をつけるサポートは理学療法。座って着替えるための動きは作業療法でしょうか。この二つは一連の流れのなかにあります。どちらの動きも必要なのです。

 たとえ完治しなくても、少しでも体の可動域を広げる。一つ一つできることを増やしていく。

 誰もがイチローのようにはできません。辛い日も、投げ出してしまいたい日もあります。家族も、三歩進んで二歩下がるくらいの気持ちで、本人を見守るのがベストです。

 リハビリは本人のためだけにするのではありません。座ることができるだけでも、介護者の負担は減ります。家族がダウンすることがないよう、福祉器具を便利に使うヒントも指導してくれます。

 少しでも、小さなことでも続けているということは、目標の道を前進している証拠です。

 「入院する」となると本人だけでなく、家族も大変です。ですが、介護の助けになる入院もあります。「レスパイト入院」です。

 入院は、病気の治療や検査をするのが一般的です。ですが、レスパイト入院は医学的な必要がなくても短期間病院で世話をしてくれます。今回は、そんなレスパイト入院をご紹介します。

レスパイト入院ってなに?

 「レスパイト」の意味は「ちょっと休憩」です。つまり、レスパイト入院は在宅で介護する人を休ませることが目的です。

 介護が必要な高齢者を、一時的に病院で預かってくれます。介護をする人の用事や気分転換などでにも利用できます。

 ショートステイと似てますが、宿泊先が施設ではなく病院のベッドです。ショートステイ以外の選択肢の一つとして、注目されています。

 在宅介護をしていると、気づかないうちに疲れがたまり、身体的にも精神的にも限界になることがあります。そのために、短期間入院してもらうのです。

 もちろん、介護者の急な事情にも対応してくれます。

メリット

 なんと言っても、医療施設ですから安心です。

 ショートステイでは受け入れてくれない方の受け入れもあったりします。重病があっても、難病を抱えていても任せられます。もちろん急変にも適切な対応をしてくれます。

 また、検査もしてくれます。

 ショートステイよりも安価な場合もあります。

デメリット

 リハビリやレクリエーションなどの介護サービスは期待できません。当然ながら、治療を優先する病院ですから。

 健康でショートステイに受け入れられそうな人は、後回しにされることもあります。

 もちろんですが、ベッドに空きがないと利用できません。また、どの病院でも行っているものではありません。

流れ

 レスパイト入院を希望されるなら、ケアマネージャーだけでなく主治医(訪問医)に相談するのがおすすめです。病院への紹介が必要だからです。

 利用のしばりは各病院によって異なります。ただし、現状では厳密なルールはありません。おおむね期間は2週間までです。短期間で退院する必要があります。

費用

 レスバイト入院では、介護保険ではなく医療保険を利用することができます。

 医療保険を利用するため、入院と似た料金です。

 ちなみに、病院は週末の会計を嫌がります。平日にチェックアウトするのがおすすめです。

 今回ご紹介したいのは、「ショートステイ」です。介護は終わりの見えにくいもの。ショートステイは、休みながら健康的に介護を続けるための選択肢の一つです。

 デイケアから帰ると文句しか言わなかった高齢者が、ショートステイに行く日を楽しみだした、なんて実例もあります。

こんな時に

 介護の疲労は身体の奥へ蓄積されてしまいます。休養の取り方は重要な問題です。

 ショートステイは家を空ける冠婚葬祭などの用事があるときだけでなく、少し休みたいときにも効果的なサービスです。もちろん、急用にも対応してくれます。

 また、普段の利用はなくても、この選択肢を一つもっておくと、介護者の体調不良時などに重宝します。

「ショートステイ」ってどんなサービス?

 数日の間だけ、介護が必要な高齢者を専用の施設でお泊りしてもらうサービスです。短い期間(2、3日~1週間ていど)だけ施設に入ってもらいます。

 連続して利用する際は、30日以内と決められています。ややこしい話ですが、「介護認定期間の半数を超えてはいけない」というルールもあります。(詳しくはケアマネジャーさんに聞く方が早いかも)介護認定期間は、要介護認定の有効期間のこと。身体の状況によりサービス内容が変化するわけです。

 専門のスタッフが食事やお風呂、トイレの手伝いなどをしてくれます。リハビリやレクリエーションがあったり、個室や温泉がある施設もあります。ケアマネジャーさんに希望を言って探してもらうのがおススメです。

※要支援、要介護度の認定を受けた方が対象です

※4日以上連続で利用する場合は、ケアプランが必要になります

メリット

 なんと言っても、介護者は負担の軽減になります。ストレスを減らすことは、介護をする側だけでなく、される側からしても大切なことです。

 ショートステイ専門の施設もありますが、老人ホームにくっついている場合もあります。将来的に施設を長く利用するなら、その予行演習になります。

 施設を「姥捨て山」のように感じる方もいらっしゃるはずです。複数箇所でショートステイを体験すると、結果として自分にあった施設を探せます。暗い人ばかりが集まっている先入観があるかもしれませんが、そんな施設ばかりではありません。

 また、専門家や経験者の意見を聞くチャンスが広がります。介護は、その地域ならではの口コミ情報があるはず。ケアマネージャーさん以外からの情報も入るようにしておくと便利です。

デメリット

 急用に対応してくれるのですが、実際は予約が取りにくい時期があります。

 また、長年住み慣れた自宅とは環境が異なります。不安な気持ちになったり、友人関係などのストレスを感じることもあります。最悪の場合、認知症の症状が進行することもあるようです。

お値段

 費用は、施設によっても、介護度によっても異なります。また、お部屋の大きさでも変わってきます。

 介護度が高いと、値段は上がります。当然ですが、大部屋(多床室)よりも個室は高価です。

 しかし、介護保険が使えますので、料金は9割引きです。

利用のポイント

 嫌がる高齢者を無理やり泊まらせることは、もちろんNGです。

 ショートステイは、泊まってみたら意外と楽しかった、という感想が多いそうです(逆もあります)。下見をするのがおススメです。実際の雰囲気は行ってみないと分かりません。

 見学は、お昼時にいくと、食事の風景や、スタッフと利用者の会話、トイレの状態などをチェックできます。

 「見学させてほしい」といってみてください。違うなと感じたら行かなければいいのです。きっとあなたにピッタリの施設が見つかるはずです。

 思い切って、実際に一泊してみると、介護がもっと楽しく(らくに)なるかもしれません。

 高齢者の場合、ちょっとした病気をすると、要介護度は急激に悪化することがあります。歩けなくなったり、寝たきりになってしまったり。家族の介助で大丈夫だったお風呂も、入れなくなる可能性があるのです。

 デイサービスやデイケアでも対応してくれますが、「訪問入浴サービス」という手もあります。これは、入浴の介護をしてくれるサービスです(看護師さんもきてくれます)。

 デイサービスやデイケア施設の職員が入れてくれるお風呂は慌ただしく、自分一人のペースでは入れません。しかし、訪問入浴サービスは、スタッフとゆっくり話をしながら、自分のペースで入浴を楽しむことができます。

 入浴時間だけは、大事にしたい方におすすめのサービスです。

狭い家でも大丈夫? 入浴はどこで?

 ベッドの脇でやるのが一般的です。二畳の場所があれば布団の真横でもお風呂に入れます。自宅の前まで、簡易の浴槽を積んだ車が来てくれます。

 移動距離が少ない方がリスクが小さいため、布団のそばが最適です。

 カビなどの心配はご無用です。防水対策はされており、専用のシートがあります。床が濡れてしまうことはありません。

どんなサービスか、時系列順に説明

入浴の手順

 ① 看護師による健康チェック

 ② 血圧や体温、脈拍などの体調をチェック(体調が悪いときは、部分浴や清拭に変更することも可)

 ③浴槽の移動

 ④衣服の着脱。お湯をはる

 ⑤バスタブにシート状のものを敷き、その上に寝かせて入浴

 いよいよ、入浴です。使われている浴槽は、底が浅く、あおむけになって入るものです。こちらは水圧が低く抑えられるため、心肺の負担を軽減する効果があります。また、洗髪などの安全を考慮しています。

男性? 女性? お風呂は誰にいれてもらうの?

 お風呂は、知らない人に全裸にされた上に触られるわけですから、抵抗を感じて当然です。

 スタッフの性別などは、希望を聞いてもらえます。性別の違う人にお風呂を入れてもらうのは嫌、という方にも対応してくれます。

 もちろん、気にしない方は、何も気にする必要はありません。

 実態はというと、数か月もすると慣れるらしく、気にならないようです。

 これは極めて個人的な問題です。ですから、ご自分で決めてもらう。こちらは、意志を尊重するのも大切ですよね。

利用するには

 訪問入浴はケアマネジャーさんと相談して決めます。

 事業所への連絡や手配などはすべてケアマネージャーさんの仕事です。介護保険の計算も絡んできますので、必ずケアマネージャーさんを通してください。

 事業所は担当の医師にも確認をとってくれます。そのうえで体調を考えて、頻度などのプランを詰めていきます。プランができてからスタートです。

準備するものは?

 それぞれ業者によって違うとは思いますが、タオルと着替えを用意しておくと便利です。普通の入浴と同じです。

 あと、ハンコです。

 お風呂に必要とされる石鹸やシャンプーなどはもってきてくれるところがほとんどです。普段使い慣れているものを希望することもできます。

 さらに、シーツ交換をしてくれることがあります。

何より大切な準備は2つ!

・室温の管理

 温度差がないように部屋の温度は23~25度ほどにしておくと快適です。

・貴重品の管理

 寝室のベッドの真横に来てくれるわけですから、個人情報の管理には注意が必要です。

 もちろん、業者は退職しても「個人情報の漏洩の防止に努める」と書いた契約書をもってくることがあります。

 ですが、通帳や印鑑をベッドサイドに保管しているなら、目の届かない場所に移動させる。電話帳などがあるなら、出しっぱなしにしない。何かあってから、疑うのは嫌なものです。

ズバリ、料金はいくら?

 1回、1300円くらいです。

 もちろん、入浴か、部分浴では値段も異なります。部分浴や清拭なら900円ほど。

 細かくは地域によっても違ってきますが、介護保険を利用すれば、一割負担です。もちろん、法律に基づいた報酬以外の茶菓子などは一切不要です。

入浴はリハビリにもなる!

 お湯に入るだけで筋肉全体を温め、無理なく関節を伸ばすことができます。清潔にしていると気持ちがいいだけでなく、感染症の予防になります。

 もちろん、褥瘡(じょくそう)の治療にも効果的です。

 何よりも、訪問入浴を利用すると、看護師が全身のチェックをしてくれます。見落としがちな傷や皮膚の状態など、適切な処置をしてくれます。

 よりよい生活をえるには、ゆったりしたお風呂の時間は重要です。

 ただし、普通の者でもお風呂に入ると体力を消耗します。お風呂上がりには、すぐ休めるように準備をしておくと、さらにゆったりできます。

 病院は行って待たされる時代から、医師が来てくれる時代に変わりつつあります。

しかし、現状や現実はどうなのでしょう。

 「在宅医療」や「訪問医」を福祉建築士の視点からご紹介します。

・「在宅医療」を受けるために最初にすること

 病院には、「ソーシャルワーカー」という医療福祉の相談をしてくれる人がいます。主治医や看護師に相談するのもアリです。

 また、ケアマネジャーがいる方は、そちらの方が早いかもしれません。

 まずは身近な専門家に相談です。

・具体的には何をする?

 在宅での主治医を誰にするかを決めます。

 かかりつけ医が、訪問医もされているならラッキーです。そのまま継続することができます。

 ですが、かかりつけ医が訪問診療をしていない場合は、訪問医を探す必要があります。

 ポイントは、動けるうちにやっておく、です。


・在宅医療は急にはじまる!

 理由は大きく2つあります。1つめは、ちょっとした病気やケガがきっかけで、急に通院ができなくなってしまう。

 もう1つは、徐々に外出が辛くなり、ある日突然リミットを超えてしまう。この2つです。高齢になれば、どちらのリスクも高まる一方です。

 早く、かかりつけ医に相談するべきですが、言い出しにくおかもしれません。先延ばしにしたい気持ちもわかります。

 残酷なようですが、訪問医は数が少なく、多忙で、急には来てくれません。自分の患者を優先するからです。(訪問医はこれから増えていくはずですが、高齢者も増えていく…)

 元気なうちに、思い切ってシフトしておくのが一番です。

・「往診」と「在宅医療」は別物

 かかりつけ医が「往診」をやっているから、訪問医になってくれるだろうと思ってませんか?

 「往診」と「在宅医療」は違います。

 「往診」は、患者が動けないとき、臨時にお願いする診療です。普段は、こちらから診察を受けに行くことが前提です。

 「在宅医療」は、あらかじめ計画のうえ、訪問してもらうことです。普段から通院できない状態です。病状が安定しているなら、1か月に1度など定期的に診てもらいます。

・「在宅医療」は、どこまでできる?

 実はどんな病気でも在宅で大丈夫です。

 特殊な装置が必要な場合でも、24時間対応が必要でも、在宅医療は可能です。ひと昔前では考えられないほど、来てくれるスタッフの種類も数も増えています。

 もちろん、急変時は祝日でも深夜でも来てくれます。

 小さな変化でも、家族が判断するのではなく、連絡して相談することができます。緊急性が高いと判断されれば、救急車の手配もしてくれます。

・看取りまでしてくれる

 確認が必要ですが、家族がその気なら、してくれることがほとんどです。ちなみに、あわてて連絡する必要はありません。

・かかりつけ医をチェック!

 相性というものがあります。かかりつけ医を替えることも可能です。まず、チェックしてみましょう。

1、話は聞いてくれますか?

2、きっちり診てくれますか? 書類ばかり見てませんか?

3、わからないことを「それはどういうこと?」と訊けば、わかりやすく答えてくれますか?

4、他の専門医との連携はとれていますか?

 医師も人間です。相性のよくないかかりつけ医に我慢することはありません。

 患者が医師と診療方法を選ぶ時代になったのです。

 高齢者の移動をサポートする「介護タクシー」。高齢社会を支えるサービスとして注目を集めています。

 今回は、病院までの送迎などでお困りの介護者のために、介護タクシーの特徴やサービス内容、利用方法、そして気になる料金体系についてご紹介します。

●介護タクシーとは

 一人で外出できない高齢者などをサポートしてくれるタクシーです。

 介護タクシーの運転手さんは「病院まで送ってくれるヘルパーさん」のイメージです。ですから、移動のあと、病院での受診をサポートしてくれたり、着替えも手伝ってくれます。

 定期的な通院の利用もできます。ご自宅にスロープや昇降機がついていなくても、大丈夫です。器具をもってきてくれます。

 運転手さんは介護保険指定業者番号をもっておられます。

 しかし、実体は、介護タクシーと福祉タクシーなど、ごちゃ混ぜになっていることがあります。何をどこまでしてくれて、費用はいくらなのか。契約する前に確認するのが鉄則です。

●料金を解説

 料金は三つに分類できます。

1.タクシーの「移送料金」

2.乗務員の介護に対する「介護保険の自己負担額」

3.車椅子や寝台などの「介護器具のレンタル料」

※介護保険は、介護にだけ使えます。タクシーの運賃は保険がききません!

1.タクシーの「移送料金」

 タクシーの運賃には介護保険が適用されないため、全額自己負担となります。

 料金はサービス業者によって異なりますが、通常のタクシーと同様にメーター料金が一般的です。時間制の貸し切り料金を設定している場合もあります。

 車椅子・寝台のまま乗車できる大型車両の場合、料金は高くなります。

 個人の印象ですが、少し高めのタクシー代と感じる程度で、そこまで変わりません。問題はこの後です。

(※通常のタクシーと同じく迎車料金と待機料金がかかりますが、これらも自己負担!)

2.介護保険自己負担額

 移動の料金とは別に、介護してもらったお金が発生します。

 厳密に定められた料金体系があります。以下、その説明です。

 乗務員の乗降介助や移動介助によって発生する介護報酬は、厚生労働省が介護の内容別に定めた単位(介護保険が適用できるサービスを、地域ごとに差が出ないよう数値化したもの)と、地域別の訪問介護の単価によって決定されます。

(金額の計算式は「単位×単価」。介護保険が適用されると、利用者は算出された金額の1割を負担することになります)

※「介助? ちょっと支えただけじゃないか!」と主張しても、料金はしっかり取られます。

3.介護器具レンタル料

 車椅子が必要な方や、ベッドから起き上がるのが困難な方が介護タクシーを利用するときは、車椅子やストレッチャーなどをレンタルできます。(他にもレンタルできる介護用品には、酸素吸入器や吸入器などなど)

※事業所ごとに料金が違います。

●保険の利用には制限があります

 定期的な通院に利用するもの、というイメージです。

 ですから、通院はもちろん、介護施設の見学、役所など公的な手続き、選挙の投票には介護保険が利用できます。

 入退院に介護保険は利用できません。冠婚葬祭も保険の利用は不可です。

●利用方法

 基本的に、予約制です。路上で手を挙げても止まってくれません。もちろん、救急車のような利用もできません。「契約を結んで利用する」サービスの一種です。

 そもそも利用者に条件があります。

1.介護度が要介護1以上の方(要支援1~2の方は、全額自己負担です)

2.公共交通機関に一人で乗ることができない方

3.ケアプランに介護タクシー利用が含まれている方※

→ ケアマネジャーさんが作成されるケアプランに記載が必要なので、確認してから利用します。ケアプランにないと、全額自己負担です!

●タイムスケジュール

 自宅のベッドから病院への移動、診察。そして、自宅のベッドへ戻してくれます。

①訪問。健康状態のチェック。

②出発の用意。着替えなどの手伝い。

③ベッドから車椅子へ、そして乗車。(消灯や施錠もしてくれます)

④病院へ到着、降車。受付と、受診のサポート。会計を済ませ、薬を受け取る。

⑤診察が終われば、これまでと逆のことをして自宅のベッドへ。必要ならおむつ交換もしてくれます。

(※介助の範囲はケアマネジャーが作成するケアプランによって決まるので、上記全ての介助が行われるわけではありません)

●まずはケアマネジャーさんに相談します

 病院の待合室で、介護タクシーのチラシをみたことありませんか? 直接電話もできますが、まずはケアマネジャーさんに相談するのがおすすめです。病院はどんな事業所のチラシでも置いています。しかし、頼れるケアマネジャーさんは、評判の悪い人を紹介したりはしません。

●介護タクシーと福祉タクシーの違い

 ヘルパーさんの資格があるかないかの違いです。

 介護タクシーは介助するスキルが必要です。病院に行く必要があるが、行くのが難しいから利用するイメージです。介護保険タクシーともいいます。

 福祉タクシーは、介護するスキルは必要ありません。介護はしてくれないので、保険も使えません。旅行などレジャーに利用するイメージです。

※しかし、混合されていることも多々あります。介護タクシーなのに観光や散髪にも使えるとか、福祉タクシーでもスキルを持っているスタッフがいるなど。

●メリットとデメリット

・メリット

 要介護度が低くても、利用できます。

 定期的な通院にかける時間をプロに任せることで、家族の負担がへります。

 例えば、車がなく自宅で介護するのは大変だと思っておられる方、付き添いが必要だから仕事の都合をつけなくてはならない方、少し自分の時間が欲しい方etc.

・デメリット

 事前に予約が必要です。前もって予約しておかないと、送迎してもらえません。また、ケアプランにのらないと保険がききませんから、ケアマネジャーさんと相談が必須です。

 タクシー業界からしても、福祉タクシーに比べて介護タクシーは手続きが面倒なのだとか。

 「介護ロボットを導入して、一番助かる人はだれだと思いますか?」

 実は、介護される側が一番楽なんです。意外な答えだと思いませんか。介護の現場では、「腰は消耗品」なんていう人もいます。介護をする側が楽になるためにロボットを導入するべきって考えてしまいがちです。

 ですが、いつも「ごめんなさいね」と声をかけ、悪いなと思いつつやってもらっている人からすれば、こんなに楽な道具はないそうです。

 もちろん、介護はする側もされる側も、お互いにしんどい現場です。ここで言いたいのは、介護する側だけでなく、される側も疲れている点です。どちらにもメリットがあるのですね。

 なのに、なぜ普及しないのでしょうか?

ドバイで発表された「料理ロボット」

 介護と直接の関係はありませんが、実際に発売されている料理ロボットです。シェフの動きをモーションキャプチャーで真似して記憶したのだとか。これはまだ初号機に近いですが、近い将来、冷蔵庫の残り物を一流シェフが料理してくれるかも。…なんて言われたものです。ですが、どうでしょう? 発売されたのは2018年です。こんなもの、ご近所にありますか?

 コロナウイルスの影響で、全自動を導入した飲食店は聞きますが、正直ここまでのメカではありません。

 発表当時、かつて「洗濯」は川で木と棒を使っていた時代から、ボタン一つの全自動になった。「料理」も同じだと言われました。ロボットの時代は本当にくるのでしょうか?

介護ロボットって、いくら?

 介護ロボットと一口でいっても、自立を応援するもの(見守りロボットなど)と、介護をする側の負担を軽減するもの(パワードスーツなど)にわけられます。

 どちらも高価で、値段のわりに効果は不十分といえます。

 現在出回っているものは、超・高価です。ちょっとしたパワードスーツで15万円ほど。全身のパワードスーツなら50万を超えるものも。

 もちろん、おむつ交換のできるロボットがいてくれれば、介護をする人の身体へのダメージは減らせるはずです。そもそも介護の現場は人手不足のうえに、高齢者は増加中。

 介護ロボットの支援を政府が行うなどしているようですが、現実味はありません。

 普及していないから高額になり、エラーも多いんだとか。さらに、コンパクトな設計になっていないため、重いうえに場所をとる。しかも、複雑な操作を覚えなくてはならない。

それでもメリットはある?

 メリットだらけです。

 先ほども書きましたが、介護をされる側は、「申し訳ない」「恥ずかしい」といった気持ちをもっているわけです。それを少しでも減らせる。また、介護の現場は肉体労働ですから、負担軽減になります。

 研究開発も重要ですが、介護ロボットそのものでなくても、料理ロボットも役にたつはずです。掃除を手伝ってくれるロボットだっていい。介護する側の負担を軽減したいわけですから。

 介護専門のロボットに限らず、できることを器械に任せればトータルの負担は減ります。電動ベッドを使うようになっただけでも、介護は楽になりました。

 とにかく、介護にさける労力は人間でも器械でも何でもいい。猫の手も借りたいのが現場の悲鳴なのです。

どうして普及しない?

 パワードスーツが現実的と言われていましたが、実は装着に時間がかかります。さらに問題は、動作までに時間差がでてしまうんだとか。

 どうしても0.3秒ほどの時間が遅れてしまうらしいのです。人間なら対応できますが、機械をつけたばっかりに怪我をすることになってしまっては元も子もありません。

 さらに、根本的な問題もあります。器械よりも人間が接することに意味があるのではないか、という指摘です。

人類史上初の介護時代

 ロボットに介護を任せたことは人類史上ないわけです。コミュニケーションを取る必要がなくなれば、人間はどうなってしまうのか。子どもの世話になりつつ、孫の顔がみたいから頑張る人もいるかもしれない。

 すべて手伝うのではなく、緩急をつけて見守ったり、やってあげたり、応援したりと変化があるからこそ、リハビリになっていたのかもしれない。その微妙なところを器械は理解してくれるのか(AIで可能になりそうですが)。

 逆に、「認知症介護」や「下の世話」には即戦力になる? 普及しない理由は多面的で一長一短があります。ですが、技術的な問題が中心ですので、乗り越える日も近いはずです。

「補助金」や「レンタル」ってある?

 自治体によって違いますが、補助金はでます。ただし、今のところ一般はありません。「介護ロボット導入支援事業」といって介護施設を運営している経営者への支援です。

 おそらく、これから一般にも解放されていくのでしょうが、制限もつきそうです。

 せめて、福祉用具レンタルのリストに掃除ロボットも入れてくれれば助かるのですが…。


突然の寝たきり介護、実際は

 その日は、突然やってきた。母はトイレに行けなくなり、おしめ生活。急な寝たきり生活への変更だった。

 本人の落胆は想像するしかないが、笑顔どころか表情がなくなり、ひどく落ち込んでいるようにみえた。

 そこで、多様なサービスを受けることに。その一つが訪問看護だ。

訪問看護をうけた経緯

 母は病気をしてから、要介護度は1から5に跳ね上がってしまった。歩行器を使えば移動できていたのが、あらゆる介助が必要になった。

 これからの暮らしをどうするか。退院前、理学療法士はもちろん看護師さんからの指導を受ける機会があった。

 実際に介護する者に実地指導をしていただいたのだ。おむつ交換、車いすからベッドへ移動をさせるコツなど、看護師さんを見て学ぶところから始めた。

 学びはしたものの、退院してからの不安は大きい。看護師さんが自宅へきてくれるサービスは魅力的だった。

実際に来てもらと

 看護師さんは、5名ほどが交代できてくれる。来てくれる看護師さんは、臨床経験のある現役の方。私見では、安心感のある方が多い。

 看護師さんは、医療機関の訪問看護に属する方だったり、訪問看護ステーション(すぐ下を参照)からの方もおられる。シフトの影響か、たまに見かける人もいるが、基本的には顔なじみになる。

訪問看護ステーション

 在宅療養支援診療所というものがある。24時間体制で、保健機関などとも連携しているクリニックのことだ。

 介護は在宅でなんとかしようとする社会的な動きから、増加傾向にある。

良い面

 寝たきりになってしまうと、からだ全体の状態を確認してもらう必要がある。素人では判断が難しい。看護師さんには、血圧や体温だけでなく、全身状態をみてもらえる。

 また、看護する知識や技術的な指導も、もらえる。福祉用具は何を使うのがより効果的か。看護師さんは、口コミ情報も豊富だ。

 さらに、生活に密着する療養上のちょっとしたアドバイスも助かる。例えば、食事の介助方法や、洗面、歯磨きといった口腔内のケアなどだ。

相談に乗ってもらいやすい

 困ったとき、自宅で話せるため相談しやすい。心配事や要望なども受け付けてくれる。また、家族で生活する時間が増え、精神的なメリットは大きい。

 ネットで調べてもわかりにくい本音を教えてくれる。例えば、正規の値段でクッション一つが数万円といわれることがある。なんとか低予算で押さえたいと本音を話すと、「これなら、ニトリの商品で代用できますよ」などアドバイスしてくれる。体質を考慮した上で安価なオムツを紹介してくれることもあった。

 また、家族への支援もしてくれる。介護疲れを心配してレスパイト入院(今後、解説予定)や息抜きを薦めてくださることもあった。

ぶっちゃけ、悪い面も

 連携方法に問題がある。

 退院前に「カンファレンス」といって関係者一同が顔を合わせる機会がある。そこで申し送りノートなどを活用してチームとして活動してくれるが、実際のところ疑問符がつく。

 もちろん、看護師間での引継ぎはできている。だが、医師や、ケアマネジャー、ヘルパー、理学療法士などとの共有は時間と手間がかかるためか、頻繁にはされていなようだ。

 問題は、医療従事者と仕事の内容の異なるスタッフさんとの連携だ。資格の問題からヘルパーにはできないこともある。つまり、看護師間でしか情報交換の必要はないことかもしれない。しかし、それで良いのだろうか。

 そばにいる人(わたし)が記録の代わりとなり、次にくる方に注意事項を伝えるというのが普通で、伝える家族が倒れれば細かなサービスは受けられない危惧がある。

 ちなみに、「訪問入浴」では記録書が存在し、うまく連携が取れている。

料金と依頼までの流れ

 要介護度や滞在時間、地域や施設によって差はあるが、介護保険が適用される。つまり、サービスは9割引きになるわけだ。理不尽な請求はないので安心して頼める。

 ただし、長時間利用することは制度的に難しく、全額自己負担になるのが現状。

 看護師さんをお願いするまでの流れは、まずケアマネジャーに相談。主治医に「訪問看護指示書」を依頼。介護保険には上限があるため、週に何回来てもらうかを決める。実は、これだけ。

本人の希望

 生活の質を高めるにはどうすればいいか。老後は長い。価値観も多様で、むろん変化する。

 自分らしく暮らしたいと願う気持ちを持つこと。そこで大切なのは、本人のやる気。これにつきる。

 その気がなければ、周りの人間に待っているのは悲劇でしかない。本人の希望を聞き取ることが、実は第一歩かもしれない。

 訪問看護を依頼する前に、本人の希望を確認しておくのは、必須といえる。