お金を貯めて「ホームエレベーター」をつけよう

エレベーターは「どこでもドア」!?

 ドラえもんに何でも頼めるなら「どこでもドア」が欲しいなんて、思ったことありませんか。じつは「自宅にエレベーターがある」はいい線いってます。

 荷物を上下に運ぶのは本当に便利です。米や水など重くかさばる買い物は、インターネットを利用する人が増えたんだとか。もちろん玄関まで運んでくれます。ですが、そこからの移動が大変です。エレベーターをつければそれらの労力を軽減できるわけです。

 問題は価格ですよね。

ざっと費用の話

 自宅にエレベーターをつけるなら、「ざっと500万」というところでしょうか。これは工事代もこみ? 維持費もいれてる? 本体だけ? 以下、参考までに費用の話を簡単に。

 設置するには、エレベーター本体だけでなく、申請の費用も必要です。

 順に、まずエレベーター本体は、安くて270万~。高いものだと400万ほど。

 申請だけでなく、設計や現地調査費用もかかります。こちらは10万ほどでしょうか。

(建築基準法にしたがい、着工前には所轄の行政官庁にエレベーター本体と建物の確認申請が必要になります。確認の通知がなければ着工はできません)

 家の状態によるのですが、強度が乏しいばあい、自立鉄塔が必要です。こちらがざっと50~100万。ケースバイケースで値段は変動しますが、500万円ほどの覚悟がいります。

 ここには、維持費を入れていません。(詳しくは下へ)

ニーズは高まっている!

 ざっと500万もするホームエレベーターですが、ニーズは高まっています。多様なニーズにこたえて、2015年には規制が緩和されました。

 エレベーター本体の床面積(かご)は広くなり、4階までだった高さ制限はなくなりました。

 理由はシンプルです。車いすユーザーが増加しているうえ、住宅は高層化したからです。

 変に気を回しすぎかもしれませんが、お役所は「なるべく自宅で介護」をモットーにしているように見受けられます。ですから、ホームエレベーターは推進したいのではないでしょうか。

※2メートルほどの段差を解消したいなら、エレベーターより「段差解消機」がおすすめです。

気になる維持費、メンテナンス代

 当然ですが、毎日の電気代は上がります。年間で計算しますと、電気代は6000円ほどのアップです。さらに、メンテナンス契約をして定期点検をうけるのが一般的です。契約料は年間43000~59000円ほど。オイル交換は5年ごとに50,000円ほど必要です。

 これだけでも高価ですが、まだあります。なんと、固定資産税が20,000円ほどアップしちゃうのです。

 設置するのに、500万ほど、ランニングコストが年間8万円ほど。

 エレベーターは一般的な電化製品とは違います。大掛かりな工事をともないますし、安全対策に手間がかかります。竣工時には工事完了の検査もうけ、検査済証の交付もあります。

 超・高い買い物です。

 でも、考えてください。そもそも急こう配の階段、荷物を持って移動するのは、危険な行為です。人間はいつも同じ状態ではありません。加齢によって足腰にふらつきがでるのは当然ですし、病気やぎっくり腰になるかもしれません。通院するのに、いくらかかるでしょう。

 エレベーターがあれば妊婦さんも安心です。車いすのまま安全に昇降できるホームエレベーターは劇的な介助力の軽減に直結しています。

お金だけじゃない、場所もとられる

 高価だが役に立つ、と主張してきました。ですが、資金だけの問題ではすまないことをお伝えしなくてはなりません。

 ホームエレベーターを買うというのは、改築に匹敵します。フローリングをキレイにするのとはレベルが違います。

 住宅の状態によっては場所を大きくとってしまうのです。当然ですが、垂直方向に空いた場所が必要です。一階は物置でも、2階は子どもの部屋で、3階は廊下のど真ん中。なんてこともありえます(もちろん、これではできません)。

 工夫として、エレベーターのドア数を増やすことができます。2階は南向きに出て、3階は北向きにでるなどは可能です。

事故もある!?

 事故やアクシデントも気になるところです。メンテナンスはプロに任せましょう。

 そのうえで、エレベーターのまわりを掃除して、大事に使うことです。ホコリは溝にたまりやすいです。つい、ドアに小物を挟んで放置していたり。センサーをいためてしまうと、ドアの開閉ができなくなります。故障の原因は小さなことの積み重ねが多い、らしいです。

買う前には試乗が必須

 公共施設でみかけるエレベーターを想像すると、別物がきます。ものにもよりますが、大人2人が立つと窮屈なくらい、とにかく狭いです。

 一度は実物をみて、動かしてください。

家に必要なもの、それは「愛」

 ホームエレベーターの問題だけではなく、そもそも家にはメンテナンスが必要です。あと後のことも考え、ある程度お金をかけて住めば、いつも快適に暮らすことができます。

 安くて質のよいものを選びたい気持ちはわかります。ですが、住宅は「すみか」です。暮らしにくいまま我慢を続け、思い切って買い替えた時に体を壊しているのでは意味がありません。

場所を確保しておく

 資金が足りない、今すぐエレベーターは必要ない、ならば、場所だけ確保しておく方法もあります。

 数年で家族は成長し、変化します。人数も変わるものです。その日がくるまで物置などにして利用します。

 ですが、ご自身で想定するのではなく、専門家に相談しておくと安心です。建物の強度を考えたり、電動の車椅子になったときの総重量のことなど、考慮することがあるからです。

 施工前にご相談いただけると、数百万円単位で得をすることもあります(なんだか怪しい感じになってしまった)。わたし以外の専門家にでも、聞くだけなら無料の場合が多いので、検討されているなら、ぜひ。

福祉建築士 入江美津子

あなたに寄りそった家をつくりませんか。 弊社は特殊な事情をお持ちの方に好評をいただいております。それは、福祉建築士の視点があるから。 町医者みたいな建築士です。

0コメント

  • 1000 / 1000