「介護ロボットを導入して、一番助かる人はだれだと思いますか?」
実は、介護される側が一番楽なんです。意外な答えだと思いませんか。介護の現場では、「腰は消耗品」なんていう人もいます。介護をする側が楽になるためにロボットを導入するべきって考えてしまいがちです。
ですが、いつも「ごめんなさいね」と声をかけ、悪いなと思いつつやってもらっている人からすれば、こんなに楽な道具はないそうです。
もちろん、介護はする側もされる側も、お互いにしんどい現場です。ここで言いたいのは、介護する側だけでなく、される側も疲れている点です。どちらにもメリットがあるのですね。
なのに、なぜ普及しないのでしょうか?
ドバイで発表された「料理ロボット」
介護と直接の関係はありませんが、実際に発売されている料理ロボットです。シェフの動きをモーションキャプチャーで真似して記憶したのだとか。これはまだ初号機に近いですが、近い将来、冷蔵庫の残り物を一流シェフが料理してくれるかも。…なんて言われたものです。ですが、どうでしょう? 発売されたのは2018年です。こんなもの、ご近所にありますか?
コロナウイルスの影響で、全自動を導入した飲食店は聞きますが、正直ここまでのメカではありません。
発表当時、かつて「洗濯」は川で木と棒を使っていた時代から、ボタン一つの全自動になった。「料理」も同じだと言われました。ロボットの時代は本当にくるのでしょうか?
介護ロボットって、いくら?
介護ロボットと一口でいっても、自立を応援するもの(見守りロボットなど)と、介護をする側の負担を軽減するもの(パワードスーツなど)にわけられます。
どちらも高価で、値段のわりに効果は不十分といえます。
現在出回っているものは、超・高価です。ちょっとしたパワードスーツで15万円ほど。全身のパワードスーツなら50万を超えるものも。
もちろん、おむつ交換のできるロボットがいてくれれば、介護をする人の身体へのダメージは減らせるはずです。そもそも介護の現場は人手不足のうえに、高齢者は増加中。
介護ロボットの支援を政府が行うなどしているようですが、現実味はありません。
普及していないから高額になり、エラーも多いんだとか。さらに、コンパクトな設計になっていないため、重いうえに場所をとる。しかも、複雑な操作を覚えなくてはならない。
それでもメリットはある?
メリットだらけです。
先ほども書きましたが、介護をされる側は、「申し訳ない」「恥ずかしい」といった気持ちをもっているわけです。それを少しでも減らせる。また、介護の現場は肉体労働ですから、負担軽減になります。
研究開発も重要ですが、介護ロボットそのものでなくても、料理ロボットも役にたつはずです。掃除を手伝ってくれるロボットだっていい。介護する側の負担を軽減したいわけですから。
介護専門のロボットに限らず、できることを器械に任せればトータルの負担は減ります。電動ベッドを使うようになっただけでも、介護は楽になりました。
とにかく、介護にさける労力は人間でも器械でも何でもいい。猫の手も借りたいのが現場の悲鳴なのです。
どうして普及しない?
パワードスーツが現実的と言われていましたが、実は装着に時間がかかります。さらに問題は、動作までに時間差がでてしまうんだとか。
どうしても0.3秒ほどの時間が遅れてしまうらしいのです。人間なら対応できますが、機械をつけたばっかりに怪我をすることになってしまっては元も子もありません。
さらに、根本的な問題もあります。器械よりも人間が接することに意味があるのではないか、という指摘です。
人類史上初の介護時代
ロボットに介護を任せたことは人類史上ないわけです。コミュニケーションを取る必要がなくなれば、人間はどうなってしまうのか。子どもの世話になりつつ、孫の顔がみたいから頑張る人もいるかもしれない。
すべて手伝うのではなく、緩急をつけて見守ったり、やってあげたり、応援したりと変化があるからこそ、リハビリになっていたのかもしれない。その微妙なところを器械は理解してくれるのか(AIで可能になりそうですが)。
逆に、「認知症介護」や「下の世話」には即戦力になる? 普及しない理由は多面的で一長一短があります。ですが、技術的な問題が中心ですので、乗り越える日も近いはずです。
「補助金」や「レンタル」ってある?
自治体によって違いますが、補助金はでます。ただし、今のところ一般はありません。「介護ロボット導入支援事業」といって介護施設を運営している経営者への支援です。
おそらく、これから一般にも解放されていくのでしょうが、制限もつきそうです。
せめて、福祉用具レンタルのリストに掃除ロボットも入れてくれれば助かるのですが…。
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