突然の寝たきり介護、実際は
その日は、突然やってきた。母はトイレに行けなくなり、おしめ生活。急な寝たきり生活への変更だった。
本人の落胆は想像するしかないが、笑顔どころか表情がなくなり、ひどく落ち込んでいるようにみえた。
そこで、多様なサービスを受けることに。その一つが訪問看護だ。
訪問看護をうけた経緯
母は病気をしてから、要介護度は1から5に跳ね上がってしまった。歩行器を使えば移動できていたのが、あらゆる介助が必要になった。
これからの暮らしをどうするか。退院前、理学療法士はもちろん看護師さんからの指導を受ける機会があった。
実際に介護する者に実地指導をしていただいたのだ。おむつ交換、車いすからベッドへ移動をさせるコツなど、看護師さんを見て学ぶところから始めた。
学びはしたものの、退院してからの不安は大きい。看護師さんが自宅へきてくれるサービスは魅力的だった。
実際に来てもらと
看護師さんは、5名ほどが交代できてくれる。来てくれる看護師さんは、臨床経験のある現役の方。私見では、安心感のある方が多い。
看護師さんは、医療機関の訪問看護に属する方だったり、訪問看護ステーション(すぐ下を参照)からの方もおられる。シフトの影響か、たまに見かける人もいるが、基本的には顔なじみになる。
訪問看護ステーション
在宅療養支援診療所というものがある。24時間体制で、保健機関などとも連携しているクリニックのことだ。
介護は在宅でなんとかしようとする社会的な動きから、増加傾向にある。
良い面
寝たきりになってしまうと、からだ全体の状態を確認してもらう必要がある。素人では判断が難しい。看護師さんには、血圧や体温だけでなく、全身状態をみてもらえる。
また、看護する知識や技術的な指導も、もらえる。福祉用具は何を使うのがより効果的か。看護師さんは、口コミ情報も豊富だ。
さらに、生活に密着する療養上のちょっとしたアドバイスも助かる。例えば、食事の介助方法や、洗面、歯磨きといった口腔内のケアなどだ。
相談に乗ってもらいやすい
困ったとき、自宅で話せるため相談しやすい。心配事や要望なども受け付けてくれる。また、家族で生活する時間が増え、精神的なメリットは大きい。
ネットで調べてもわかりにくい本音を教えてくれる。例えば、正規の値段でクッション一つが数万円といわれることがある。なんとか低予算で押さえたいと本音を話すと、「これなら、ニトリの商品で代用できますよ」などアドバイスしてくれる。体質を考慮した上で安価なオムツを紹介してくれることもあった。
また、家族への支援もしてくれる。介護疲れを心配してレスパイト入院(今後、解説予定)や息抜きを薦めてくださることもあった。
ぶっちゃけ、悪い面も
連携方法に問題がある。
退院前に「カンファレンス」といって関係者一同が顔を合わせる機会がある。そこで申し送りノートなどを活用してチームとして活動してくれるが、実際のところ疑問符がつく。
もちろん、看護師間での引継ぎはできている。だが、医師や、ケアマネジャー、ヘルパー、理学療法士などとの共有は時間と手間がかかるためか、頻繁にはされていなようだ。
問題は、医療従事者と仕事の内容の異なるスタッフさんとの連携だ。資格の問題からヘルパーにはできないこともある。つまり、看護師間でしか情報交換の必要はないことかもしれない。しかし、それで良いのだろうか。
そばにいる人(わたし)が記録の代わりとなり、次にくる方に注意事項を伝えるというのが普通で、伝える家族が倒れれば細かなサービスは受けられない危惧がある。
ちなみに、「訪問入浴」では記録書が存在し、うまく連携が取れている。
料金と依頼までの流れ
要介護度や滞在時間、地域や施設によって差はあるが、介護保険が適用される。つまり、サービスは9割引きになるわけだ。理不尽な請求はないので安心して頼める。
ただし、長時間利用することは制度的に難しく、全額自己負担になるのが現状。
看護師さんをお願いするまでの流れは、まずケアマネジャーに相談。主治医に「訪問看護指示書」を依頼。介護保険には上限があるため、週に何回来てもらうかを決める。実は、これだけ。
本人の希望
生活の質を高めるにはどうすればいいか。老後は長い。価値観も多様で、むろん変化する。
自分らしく暮らしたいと願う気持ちを持つこと。そこで大切なのは、本人のやる気。これにつきる。
その気がなければ、周りの人間に待っているのは悲劇でしかない。本人の希望を聞き取ることが、実は第一歩かもしれない。
訪問看護を依頼する前に、本人の希望を確認しておくのは、必須といえる。
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