高齢者の場合、ちょっとした病気をすると、要介護度は急激に悪化することがあります。歩けなくなったり、寝たきりになってしまったり。家族の介助で大丈夫だったお風呂も、入れなくなる可能性があるのです。
デイサービスやデイケアでも対応してくれますが、「訪問入浴サービス」という手もあります。これは、入浴の介護をしてくれるサービスです(看護師さんもきてくれます)。
デイサービスやデイケア施設の職員が入れてくれるお風呂は慌ただしく、自分一人のペースでは入れません。しかし、訪問入浴サービスは、スタッフとゆっくり話をしながら、自分のペースで入浴を楽しむことができます。
入浴時間だけは、大事にしたい方におすすめのサービスです。
狭い家でも大丈夫? 入浴はどこで?
ベッドの脇でやるのが一般的です。二畳の場所があれば布団の真横でもお風呂に入れます。自宅の前まで、簡易の浴槽を積んだ車が来てくれます。
移動距離が少ない方がリスクが小さいため、布団のそばが最適です。
カビなどの心配はご無用です。防水対策はされており、専用のシートがあります。床が濡れてしまうことはありません。
どんなサービスか、時系列順に説明
入浴の手順
① 看護師による健康チェック
② 血圧や体温、脈拍などの体調をチェック(体調が悪いときは、部分浴や清拭に変更することも可)
③浴槽の移動
④衣服の着脱。お湯をはる
⑤バスタブにシート状のものを敷き、その上に寝かせて入浴
いよいよ、入浴です。使われている浴槽は、底が浅く、あおむけになって入るものです。こちらは水圧が低く抑えられるため、心肺の負担を軽減する効果があります。また、洗髪などの安全を考慮しています。
男性? 女性? お風呂は誰にいれてもらうの?
お風呂は、知らない人に全裸にされた上に触られるわけですから、抵抗を感じて当然です。
スタッフの性別などは、希望を聞いてもらえます。性別の違う人にお風呂を入れてもらうのは嫌、という方にも対応してくれます。
もちろん、気にしない方は、何も気にする必要はありません。
実態はというと、数か月もすると慣れるらしく、気にならないようです。
これは極めて個人的な問題です。ですから、ご自分で決めてもらう。こちらは、意志を尊重するのも大切ですよね。
利用するには
訪問入浴はケアマネジャーさんと相談して決めます。
事業所への連絡や手配などはすべてケアマネージャーさんの仕事です。介護保険の計算も絡んできますので、必ずケアマネージャーさんを通してください。
事業所は担当の医師にも確認をとってくれます。そのうえで体調を考えて、頻度などのプランを詰めていきます。プランができてからスタートです。
準備するものは?
それぞれ業者によって違うとは思いますが、タオルと着替えを用意しておくと便利です。普通の入浴と同じです。
あと、ハンコです。
お風呂に必要とされる石鹸やシャンプーなどはもってきてくれるところがほとんどです。普段使い慣れているものを希望することもできます。
さらに、シーツ交換をしてくれることがあります。
何より大切な準備は2つ!
・室温の管理
温度差がないように部屋の温度は23~25度ほどにしておくと快適です。
・貴重品の管理
寝室のベッドの真横に来てくれるわけですから、個人情報の管理には注意が必要です。
もちろん、業者は退職しても「個人情報の漏洩の防止に努める」と書いた契約書をもってくることがあります。
ですが、通帳や印鑑をベッドサイドに保管しているなら、目の届かない場所に移動させる。電話帳などがあるなら、出しっぱなしにしない。何かあってから、疑うのは嫌なものです。
ズバリ、料金はいくら?
1回、1300円くらいです。
もちろん、入浴か、部分浴では値段も異なります。部分浴や清拭なら900円ほど。
細かくは地域によっても違ってきますが、介護保険を利用すれば、一割負担です。もちろん、法律に基づいた報酬以外の茶菓子などは一切不要です。
入浴はリハビリにもなる!
お湯に入るだけで筋肉全体を温め、無理なく関節を伸ばすことができます。清潔にしていると気持ちがいいだけでなく、感染症の予防になります。
もちろん、褥瘡(じょくそう)の治療にも効果的です。
何よりも、訪問入浴を利用すると、看護師が全身のチェックをしてくれます。見落としがちな傷や皮膚の状態など、適切な処置をしてくれます。
よりよい生活をえるには、ゆったりしたお風呂の時間は重要です。
ただし、普通の者でもお風呂に入ると体力を消耗します。お風呂上がりには、すぐ休めるように準備をしておくと、さらにゆったりできます。
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