高齢者の移動をサポートする「介護タクシー」。高齢社会を支えるサービスとして注目を集めています。
今回は、病院までの送迎などでお困りの介護者のために、介護タクシーの特徴やサービス内容、利用方法、そして気になる料金体系についてご紹介します。
●介護タクシーとは
一人で外出できない高齢者などをサポートしてくれるタクシーです。
介護タクシーの運転手さんは「病院まで送ってくれるヘルパーさん」のイメージです。ですから、移動のあと、病院での受診をサポートしてくれたり、着替えも手伝ってくれます。
定期的な通院の利用もできます。ご自宅にスロープや昇降機がついていなくても、大丈夫です。器具をもってきてくれます。
運転手さんは介護保険指定業者番号をもっておられます。
しかし、実体は、介護タクシーと福祉タクシーなど、ごちゃ混ぜになっていることがあります。何をどこまでしてくれて、費用はいくらなのか。契約する前に確認するのが鉄則です。
●料金を解説
料金は三つに分類できます。
1.タクシーの「移送料金」
2.乗務員の介護に対する「介護保険の自己負担額」
3.車椅子や寝台などの「介護器具のレンタル料」
※介護保険は、介護にだけ使えます。タクシーの運賃は保険がききません!
1.タクシーの「移送料金」
タクシーの運賃には介護保険が適用されないため、全額自己負担となります。
料金はサービス業者によって異なりますが、通常のタクシーと同様にメーター料金が一般的です。時間制の貸し切り料金を設定している場合もあります。
車椅子・寝台のまま乗車できる大型車両の場合、料金は高くなります。
個人の印象ですが、少し高めのタクシー代と感じる程度で、そこまで変わりません。問題はこの後です。
(※通常のタクシーと同じく迎車料金と待機料金がかかりますが、これらも自己負担!)
2.介護保険自己負担額
移動の料金とは別に、介護してもらったお金が発生します。
厳密に定められた料金体系があります。以下、その説明です。
乗務員の乗降介助や移動介助によって発生する介護報酬は、厚生労働省が介護の内容別に定めた単位(介護保険が適用できるサービスを、地域ごとに差が出ないよう数値化したもの)と、地域別の訪問介護の単価によって決定されます。
(金額の計算式は「単位×単価」。介護保険が適用されると、利用者は算出された金額の1割を負担することになります)
※「介助? ちょっと支えただけじゃないか!」と主張しても、料金はしっかり取られます。
3.介護器具レンタル料
車椅子が必要な方や、ベッドから起き上がるのが困難な方が介護タクシーを利用するときは、車椅子やストレッチャーなどをレンタルできます。(他にもレンタルできる介護用品には、酸素吸入器や吸入器などなど)
※事業所ごとに料金が違います。
●保険の利用には制限があります
定期的な通院に利用するもの、というイメージです。
ですから、通院はもちろん、介護施設の見学、役所など公的な手続き、選挙の投票には介護保険が利用できます。
入退院に介護保険は利用できません。冠婚葬祭も保険の利用は不可です。
●利用方法
基本的に、予約制です。路上で手を挙げても止まってくれません。もちろん、救急車のような利用もできません。「契約を結んで利用する」サービスの一種です。
そもそも利用者に条件があります。
1.介護度が要介護1以上の方(要支援1~2の方は、全額自己負担です)
2.公共交通機関に一人で乗ることができない方
3.ケアプランに介護タクシー利用が含まれている方※
→ ケアマネジャーさんが作成されるケアプランに記載が必要なので、確認してから利用します。ケアプランにないと、全額自己負担です!
●タイムスケジュール
自宅のベッドから病院への移動、診察。そして、自宅のベッドへ戻してくれます。
①訪問。健康状態のチェック。
②出発の用意。着替えなどの手伝い。
③ベッドから車椅子へ、そして乗車。(消灯や施錠もしてくれます)
④病院へ到着、降車。受付と、受診のサポート。会計を済ませ、薬を受け取る。
⑤診察が終われば、これまでと逆のことをして自宅のベッドへ。必要ならおむつ交換もしてくれます。
(※介助の範囲はケアマネジャーが作成するケアプランによって決まるので、上記全ての介助が行われるわけではありません)
●まずはケアマネジャーさんに相談します
病院の待合室で、介護タクシーのチラシをみたことありませんか? 直接電話もできますが、まずはケアマネジャーさんに相談するのがおすすめです。病院はどんな事業所のチラシでも置いています。しかし、頼れるケアマネジャーさんは、評判の悪い人を紹介したりはしません。
●介護タクシーと福祉タクシーの違い
ヘルパーさんの資格があるかないかの違いです。
介護タクシーは介助するスキルが必要です。病院に行く必要があるが、行くのが難しいから利用するイメージです。介護保険タクシーともいいます。
福祉タクシーは、介護するスキルは必要ありません。介護はしてくれないので、保険も使えません。旅行などレジャーに利用するイメージです。
※しかし、混合されていることも多々あります。介護タクシーなのに観光や散髪にも使えるとか、福祉タクシーでもスキルを持っているスタッフがいるなど。
●メリットとデメリット
・メリット
要介護度が低くても、利用できます。
定期的な通院にかける時間をプロに任せることで、家族の負担がへります。
例えば、車がなく自宅で介護するのは大変だと思っておられる方、付き添いが必要だから仕事の都合をつけなくてはならない方、少し自分の時間が欲しい方etc.
・デメリット
事前に予約が必要です。前もって予約しておかないと、送迎してもらえません。また、ケアプランにのらないと保険がききませんから、ケアマネジャーさんと相談が必須です。
タクシー業界からしても、福祉タクシーに比べて介護タクシーは手続きが面倒なのだとか。
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