緊急入院した高齢の母が自宅に戻ると、要介護度が1から5に跳ね上がっていた。
今まで歩けた母が、寝たきりになって帰ってきたのだ。本人もそうだが、家族は驚き、受け入れるまでに時間を要した。
寝たきりになると、やることは山積みだ。ベッドの交換から、食事、歯磨きなど、生活のすべてに変化が生じる。
なんとか、起き上がり、座ることだけでもできないものか。せめて、おむつ交換の際の足を動かす筋力をつけてもらえないか。
リハビリでいかに筋力を強化するかが課題となった。
リハビリを自宅で?
高齢者なら、突然の入院はよくあることだ。入院にまつわる、よくあることに「退院の時期がズレる」こともあげられる。検査や病院の都合で延びるのは、「病院あるある」の一つだ。とにかく、病院では予期せぬストレスにさらされる。
リハビリは、病院などに付属した施設に行って、やってもらうもの。そんなイメージを持っていた。だが実は、自宅に来てもらえるサービスは複数ある。
行くか? 来てもらうか? どっちがいい?
来てもらうリハビリと、施設に通うリハビリ。どう違うのか。
妙なたとえで恐縮ですが、施設に通うリハビリは「大型スーパーのレジ対応」だとすれば、訪問のリハビリは「出前にきて世間話してくれる昔の寿司屋さん」みたいなイメージといってよいでしょうか。
施設に通うと「マニュアル重視」っぽくなりますし、来てもらうと「アットホーム」っぽい。
※どちらも体験した印象です
「訪問リハ」とは
訪問リハは、通院の困難な方や、自宅でリハビリしたい家族のためのアドバイザーなど多様な役割がある。
もっともよい点は、自宅でのリハビリであるから、日常生活に即した動きをトレーニングする点があげられる。普段、やりたい体の動きを直接現場で伝えて、そのための筋肉の動きの鍛え方を教えてもらう。
また、それにともない「ここに手すりがあると便利ですよ」などといった住宅の改修に関する直接的なアドバイスももらえたりする。
そもそも、リラックスして参加できるというのは最大の利点だ。施設で大人数でやるものとは違い、マンツーマンでケアも細かい。
マイナス点としては、施設に比べてリハビリ専用の機材は劣ってしまうことだ。
来てくれる人はどんな人?
作業療法士や理学療法士、言語聴覚士といった国家資格をもつリハビリのプロたち。もっとも、家族以外の人と話すだけでもリハビリになる。
対象となる人は?
要介護度が1から5の人は誰でも対象になる。また、お医者さんから必要と認められた人。ただし、要支援だと、介護予防訪問リハビリテーションとなる。
具体的な内容
歩行や日常生活をする上での筋力の強化や、関節を柔らかくする運動。
家の近くを歩いたり、屋内で歩く、食事をする、着替える、トイレをするなど、どの動作に対してもアプローチしていく。
家事の手伝いをするだけでもリハビリにつながる。例えば洗濯物を畳むだけでも手先の訓練になる。
また、介護をしている家族の身体的な負担を軽減するアドバイス。サービスの最初と最後に血圧など健康チェックもある。
利用するまでの流れ
まずは、主治医に相談。
つぎに、ケアマネジャーにリハビリしたい旨を伝える。おススメの療法士と、予定の調整や利用の計算などすべて手配してくれる。
ケアマネジャーが療法士と一緒にリハビリ内容を検討してくれる。割引上限が決められたケアプラン作成のためだ。
それらが終わると自宅へ来てくれる。
ただし、チェックが必要な箇所がある。それは療法士の接客態度。稀に腕はよくても性格が合わないことも。嫌なら、初めにハッキリと断る。
療法士はスタッフの一人にすぎない。であるから、引継ぎをしっかりしてくれているか、確認しておくべきだ。他の病院のスタッフとも連携して訪問してくれることは重要になる。
費用のはなし
だいたい、1回40分で750円。
1回20分と計算したので、300円ほどのことが多い。
ですが、40分利用が多いのと、諸経費が加算されます。ですから、実際の肌感覚として、上記の金額です。
※参考:厚生労働省「介護報酬の算定構造」
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