ケアマネジャーさんを選ぶコツ

・ケアマネジャーって?

 ようするに、介護のマネジャーさん。スケジュールの管理をしてくれたり、介護サービスを円滑に受けやすくするため、予定を考えて調整してくれます。ですから、各所への連絡もしてくれます。

・いくらかかる?

 無料です。依頼しても、利用者の負担はありません。全額が介護保険からの給付です。自己負担など一切ありません。

 ちなみに、お中元やお歳暮なども受け取ってもらえません。

・どうやって頼む?

 市区町村の介護保険課や、地域包括支援センターなどで候補者を教えてくれます。事業所などが載っている地図やリストもくれるはずです。

 事業所とは、デイケアやデイサービスといった介護サービスを提供するところです。もちろん、特別養護老人ホームや老人保健施設、介護療養型医療施設などもそうです。

 ケアマネジャーはこうした事業所に所属していることが多いのです。まれに個人経営のケアマネジャーさんもおられます。

 ケアマネジャー選びをしっかりできると、介護生活に無駄が少なく円滑に進みます。実はここがしっかりしていないと、ストレスを感じることになってしまいます。

・ケアマネジャーは十人十色

 ケアマネジャーは実務経験を積んだ、都道府県の資格です。

 また、実務経験は特定の分野ではなく、保健や福祉、医療など幅が広いため、得意分野に違いが出てきます。

 さらに、経験値にも差があります。訪問看護の経験やある人、保健師などの資格を持っているケアマネジャーもいます。

・具体的な依頼方法

 リストにある人全員にあうのは、大変です。ピッタリな人を探すために、こちらで勝手に一次審査をします。

 リストにある事業所へ「何も知らないから教えてほしい」と電話します。そこで応対の感じをつかみます。丁寧な印象をうけましたか?

 つながりにくいところは論外です。

 会って話したい人を数名に絞ります。

 面接をします。

①居住している地区に詳しい人かどうか。ケアマネジャーはいくら優秀でも、地域の事情に詳しくないとマイナスです。

②電話の応対のスムーズな人かどうか。お願いした後、主な連絡は電話です。フットワークが軽く、連絡の取りやすい相手にします。

 介護をしている家族の状態にあう人でしょうか? 家族が仕事を持ちながら介護をする場合、勤務時間内に連絡できますか。希望の連絡手段に対応しているか。例えば、メールなどは対応してくれますか。

③複数の提案ができる人ですか? 事業所に所属している以上、所属組織に近い提案をしてくるのは仕方のないことです。ですから、それ以外の選択肢も出してくれる人は優れたケアマネジャーといえます。

 他に、経歴も重要です。実務経験で、看護師をしていたケアマネジャーさんは医療に詳しいはずです。ヘルパーさんをしていた人は実際の介護現場に詳しいでしょう。 

 こちらに必要なケアマネジャーの特徴を把握する必要があります。ですが、いきなりの電話で実務経験や経歴を尋ねるのは気がひけます。そんなときは、事業所の方に、医療面に詳しいケアマネジャーさんを希望したいなどの要望を伝えるのがベストです。

・具体的にどうやって選ぶ?

 最後は会って話してみるのが一番です。

 わかりやすく話してくれる人か、選択肢やアイディアを多く示せるか。難しいことはわからなくても、話し方は、簡潔にして要を得ているか。優先順位をキチンと伝えてくれるか。

 つまり、「話の早い人」か、が重要なポイントです。

 ですが何よりも大切なのは、こちらの希望を聞き取る力はあるか、です。あちらからの押し付けではなく、話を聞き取る力のある人は優秀です。今後は金銭の話もしなくてはならないからです。介護サービスは有料です。こちらの経済的な事情も聴いてもらわなくてはなりません。

 話が早く、何でも相談しやすそうな人を選ぶと失敗が少なくてすみます。

・交代してもらう3つの方法

 ケアマネジャーに対してストレスを感じることがあれば、いつでも交代してもらえます。

①本人か、事業所など支援センターに交代の希望を伝える

②別の事業所、支援センターに相談する

③市区町村の保険課や地域包括支援センターに相談する

※どれも電話でOKです

 ケアマネジャーさんは、目の回るほど忙しいのが現状です。ごくまれにですが、その人のためだけに考えたことではなく、その場で思いつくような提案しかしてくれない場合があります。

 相手は仕事でも、こちらの介護は暮らしと直結します。「お世話になっている」のは事実ですが、彼らとは対等の立場です。なにも遠慮することはありません。合わないのであれば我慢せず、よりよい生活のために交代してもらうべきです。

 また、ケアマネジャーが変わっても、介護サービスは継続できます。

 ちなみに、ケアマネジャーさんが、マネージメントを行う定員は決められています。(要介護者35名まで、要支援者8名)

・現実の話

 実は、私もケアマネジャーさんの交代をしてもらいました。対応が遅いうえ、意見に食い違いがあったからです。

 正直にいうと、交代は労力がいります。大変でした。

 地域包括支援センターに相談しても、「当人同士で話し合ってみてはどうでしょう」などといって逃げられる場合もあります。解決に尽力してくれません。

 別の事業所に連絡すると、すぐに新しいケアマネジャーを紹介してくれます。ですが、なんだか後味の悪いものになりました。

 事業所に複数のケアマネジャーさんがいらっしゃるなら、まず、そこの責任者の方と相談してみる。改善されないにしても、いいたいことを言っておくとスッキリしたかもしれません。

・今だからいえること

 利用者や家族が元気なときに、別のケアマネジャーの情報を積極的に収集しておくのがおすすめです。

 その際、参考になるのは「事業所の特色」です。

※事業所にケアマネジャーが複数人いらっしゃると、交代はスムーズな場合があります。波長のあうケアマネジャーに出会えるかもしれません。ただし、提案は似たようなものになるでしょうが…。

・一番大事なこと

 ケアマネジャー以前の問題ですが、将来のビジョンをはっきりするべきです。

 将来に向けて考えるべき姿は、大きく2種類あります。つまり、「穏やかに終末を迎えたい」か、「ピンピンコロリ」を希望するかです。

 もっといえば、将来は寝たきりでも仕方ないと考えるか、少しでも体を動かしたいと思うか、という問題です。

 年齢を重ねれば、できなくなることも増えます。ビジョンの前者は「寝たきり」ということになります。これは家族への負担の差でもあります。ですから、本人と家族が決めることです。

・裏技

 医療に詳しいケアマネジャーを見つけたいなら、病院へいきます。かかりつけの病院があるなら、そこで話をしてみると教えてくれることがあります。

 病院にソーシャルワーカーがおられるなら相談してみるのも手です。診療所なら、主治医や看護師に相談するのもおすすめです。

 ケアマネジャーは病院との連携も仕事なので、医療現場は優秀なケアマネジャーを把握していることが多いです。

福祉建築士 入江美津子

あなたに寄りそった家をつくりませんか。 弊社は特殊な事情をお持ちの方に好評をいただいております。それは、福祉建築士の視点があるから。 町医者みたいな建築士です。

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