歩行器を買うポイント

 高齢者の歩行、とくに自分の親がきちんと歩けているのかジャッジするのは難しい問題です。つい、ひいき目でみてしまうもの。本人が快適に歩くには、何をどうやって選べばいいのでしょうか?

私のケース

 母の場合、シルバーカーを使っていました。買い物や絵画教室へもシルバーカーを押していきました。

 そのうち、食事を運ぶため、「屋内用のシルバーカーも必要」と言いだすようになります。

 デイケアへ行くようになり、理学療法士の方から「歩行器の購入を検討してはどうか」と勧められました。専門家の推薦がないと、利用することのなかった代物です。


歩行器? 歩行車?

 歩行器、歩行車は簡単に分類すると、タイヤのついているものとそうでないものがあります。

 四本足の安定した杖といった歩行器は、一歩ごとに持ち上げて進みます。

 その変形で、前のみタイヤというもの。さらに四輪のもの。つまり歩行車があります。

 小さく小回りのきくタイヤがすべてについていますから、動きは素早いのですが、人により慣れるまでバランスが難しいかもしれません。

 ブレーキのついた歩行車。グリップを握って体を支えるので、安定します。グリップでブレーキ操作も可能です。

 介護保険の記述では、「歩行車」ではなく「歩行器」で統一されています。ここではわかりやすくタイヤの付いたものを歩行車としています。


選ぶポイント「腕で体重を支えられる?」

↓チェック!

腕を伸ばして体重を支えられますか? ひじが曲がってしまいますか?

 この違いで歩行車の車輪の大きさが変わります。ひじが曲がってしまうようだと、全体として大きいものが必要となります。


購入? レンタル?

 介護保険を使えば、購入もレンタルも1割で済ませることができます。1,000円の商品を100円で買える訳です。

 ただし、すべての器具がその対象ではありません(ベッドや車いすなどはレンタルのみ。購入の場合は100%支払うことになります!)。

 また、要介護度もカギになってきます。さらに金額の上限も決められています(購入の場合は年間10万円)。

 高齢者の身体は日々変化します。介護度も変わります。

 5年以上使うことを考えれば、買う方が得することもありえます。使い慣れた相棒のようになるかもしれません。

 長い目でみるとレンタルの方が優れていることも。なぜなら、その時の身体の状態にフィットさせることができるからです。

(※上記は介護保険法に定められたことですが、地域によって違いがあります。ケアマネジャーさんが詳しく教えてくれるはずです)


気を付けるポイント

①歩行車は同じ操作法のものを選ぶ

 歩行車の動かし方、ブレーキのかけ方、ロックの方法は、メーカーによって微妙に異なります。

 操作方法が違うと、使いにくいものです。母の場合もこれで使えませんでした。

 ですから、同一の操作方法で多様な種類があるかチェックしておくべきです。いざ、室内でも利用しようとした際に便利です。

②グリップの高さを調整してもらう

 最低でも年に2回の点検で、高さを調整します。

 腕で体重を支えていますので、ひじの状態も大切になってきます。そんなときは、症状を理解して調整してくれるプロに頼るのがベストです。訪問リハなどを利用しているなら、理学療法士や作業療法士に相談するのがおすすめです。


お試しで

 歩行器があると、足への負担が軽減されます。膝が痛いという人には、ぜひ試してください。体のどこかが痛んでいると、バランスが崩れています。

 高齢者の歩行はどうしてもふらついてしまいます。運動神経が鈍り反応が遅くなってしまうためです。

 そこで歩行器です。的確な補助を使うと、体重を支えていた点の数が単純に多くなるため、安定するのです。

かえる前提で

 正直な話、歩行器を使うことへの抵抗はありました。周りの人からの目も気になります。

ですが、慣れてしまえばなんてことはない。利用者は驚くほど多いのです。

 それに補助を必要とする身体なのです。そこで母は専門家の助言に従い、シルバーカーから歩行器を選択しました。

 歩行器は万能ではありません。身体はさらに衰え、乗り換える可能性が高い商品であることを前提にさがすことをおすすめします。

福祉建築士 入江美津子

あなたに寄りそった家をつくりませんか。 弊社は特殊な事情をお持ちの方に好評をいただいております。それは、福祉建築士の視点があるから。 町医者みたいな建築士です。

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